遅刻

Vn / 3年 / 女

私は、決められた時間に間に合うことができない。入団してから2年間で、私は遅刻魔になってしまった。遅刻の理由はいろいろある。
「あーあ、順調だったのに乗り過ごした…」「あれ??早く起きたのに時間勘違いしてた!」「楽器を忘れた!」電車にて「なんか足元がふわふわする。あ、スリッパ履いてる汗」
たまに寝坊もする。絶望の音楽と共に私は飛び起き、家から駅まで爆走し、前を歩く人たちはみんな私の足音で振り返ってくる。顔を覚えられている可能性が高い。全力で電車を乗り換えて、駅に着いたらまた走り、練習部屋に入る頃には走り疲れてもうヘトヘト。去年の夏ごろ、いつも通り駅のホームを走っていると、突然世界がスローモーションになった。わああーー。漫画みたいに、ダイナミックに転倒した。痛い…。けれどもすぐに立ち上がって走り続けた。私には時間が無いから。ズボンには穴が空いていた。恥ずかしいし、疲れるし、辛い。
みんなは私のことを天然だと言う。けれども私はそうは思わない。でもなんでだろう、どう頑張ってもギリギリの人生から逃れることができない。みんなが思ってるほど私の人生はゆっくりじゃないし、はるかにハードモードだ。遅刻にだっていろんなドラマがあるんだ。私はせめて、ファンタジー溢れる大好きなフォイヤーの音楽に、この私だけのドラマを生かしたい。